相続土地国庫帰属制度の利用

お知らせ

こんにちは。

寺園司法書士・行政書士事務所の寺園渉です。

相続によって土地を取得したものの、

  • 遠方に住んでいて管理できない
  • 今後利用する予定がない
  • 売却しようとしても買い手が見つからない
  • 草払いや固定資産税などの負担だけが続いている

というお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

このような、所有しているだけで負担となってしまう不動産は、俗に「負動産」と呼ばれることがあります。

相続した不要な土地を手放すための選択肢の一つが、相続土地国庫帰属制度です。

今回は、当事務所が実際に申請に関与している案件を踏まえ、この制度は本当に使えるのか、申請して分かったことをご紹介します。

相続土地国庫帰属制度とは

相続土地国庫帰属制度は、相続などによって取得した土地について、一定の要件を満たした場合に、所有権を国へ移すことができる制度です。

「相続した土地を国に引き取ってもらえる制度」と聞くと、不要な土地を簡単に手放せるように感じるかもしれません。

しかし、申請すれば必ず引き取ってもらえるわけではありません。

国が管理することになるため、その土地が将来にわたって管理しにくい状態ではないか、土地の状況に問題がないかなどについて審査が行われます。

また、審査を通過した場合にも、国による管理に必要な費用として負担金を納める必要があります。

そのため、実際に利用を検討するときは、土地の状態だけでなく、手続きに必要な時間や費用も含めて考える必要があります。

当事務所が関与している実際の申請

当事務所が申請手続きを支援した案件があります。この案件は、令和8年3月に申請されました。

申請後ただちに手続きが終わるわけではなく、現在も審査が続いており、令和8年9月には現地での現地確認が予定されています。

土地によっては、草木が生い茂っていると境界付近の状況を確認しにくくなります。

そのため、申請書類を提出するだけでなく、現地確認を受けられる状態を保つために、草払い等の作業が必要になる場合があります。

今回、実際に手続きを進める中で、制度の利用には書類の準備だけでなく、申請後の現地対応や土地の管理も関係することを改めて実感しました。

申請すれば、すぐ土地を手放せるわけではありません

相続土地国庫帰属制度は、不要な土地を国に引き取ってもらえる可能性があるという点では、有用な制度です。

一方で、実際に申請してみると、決して手軽な制度とはいえません。

申請前には、対象となる土地の状態を調査し、制度を利用できる可能性があるかを検討する必要があります。その後も、申請書類の作成、添付資料の収集、審査への対応などが必要になることがあります。

場合によっては、境界を確認できるようにするための草払いや、土地の状態を整えるための費用が発生することも考えられます。承認された後には、国へ納める負担金も必要です。

また、申請から審査の完了までには相応の期間を要します。

したがって、「申請書を出せば、すぐに土地を手放せる」という制度ではないことを、あらかじめ理解しておく必要があります。

「使える制度」ではあるが、利用のハードルは低くありません

相続土地国庫帰属制度は、条件を満たす土地であれば、所有権を国へ移すための正式な制度として利用できます。

しかし、実際の使い勝手という面では、必ずしも利用しやすい制度とはいえません。

審査があり、時間がかかります。

審査手数料、土地の整備、承認後の負担金など、一定の費用が必要になります。

土地の状態によっては、そもそも制度を利用できないこともあります。

そのため、一般の売却や近隣の方への譲渡など、ほかの処分方法が考えられる土地については、まず別の選択肢を検討することも大切です。

一方で、

  • 売却を試みても買い手が見つからない
  • 無償でも引き取り手がいない
  • 将来にわたって自分や子どもが管理することが難しい
  • 費用を負担してでも土地を手放したい

という場合には、相続土地国庫帰属制度を検討する意味があります。

簡単な制度ではありませんが、どうしても処分できない土地の問題を将来の世代へ残さないための、一つの選択肢にはなり得ます。

まとめ

相続土地国庫帰属制度は、相続した不要な土地を手放すための選択肢の一つです。

ただし、土地の状況によっては、受け入れてもらえない可能性があります。

その意味では、誰にとっても簡単で使いやすい制度とはいえません。

それでも、売ることも譲ることも難しく、今後も管理の負担だけが続く土地については、状況を解決するための重要な選択肢となる可能性があります。

「相続した土地をどうしても処分したい」
「子どもに負担を残したくない」
「自分の土地が国庫帰属制度の対象になる可能性があるか知りたい」

という方は、寺園司法書士・行政書士事務所へご相談ください。

土地の状況を確認し、相続土地国庫帰属制度の利用可能性だけでなく、ほかの処分方法も含めて検討いたします。

※本記事は、相続土地国庫帰属制度に関する一般的な情報と当事務所の取扱事例を紹介するものです。制度を利用できるかどうかは、個別の土地の状況や審査によって異なります。